【質問】現在、個人事業主として建設業許可を受けて営業していますが、株式会社を作ろう(=法人化)と考えています。現在の建設業許可はそのまま、法人に引き継がれるのでしょうか?
【回答】
建設業の許可を受けて営業している個人事業主が株式会社などへ法人化して引続き営業する場合には、あらためて法人としての新規許可申請を行う必要があります。
この申請手続きは「法人成り新規申請」といわれています。
個人事業主で建設業許可を取得していた場合でも、その許可は個人に対しての許可のため、たとえ子供など身内の者であっても引き継ぐことは出来ません。
また、法人成りした際は変更届を提出すればいいというわけでもなく、改めて法人として最初から許可申請する必要がありますので、許可番号そのものが変わることになります。
都道府県に納める手数料は新規許可と同じで、知事許可は9万円・大臣許可は15万円がかかります。
建設業許可の要件面自体は、一度個人事業主として許可を取得しているため、個人事業主時代に経営業務の管理責任者となっていた方がそのまま法人の役員に入っていて、専任技術者となりえる有資格者が在籍していればほぼ容易に取り直しができるといえます。
一般建設業の場合、法人設立時の資本金は500万円であれば要件クリアです。
資本金が500万円以下であっても、設立後の許可申請時に500万円以上の残高証明書を提示することで要件はクリアできます。
※特定建設業の場合、設立時資本金は4,000万円必要です。
(本来、特定建設業許可の財産要件ですと、資本金2000万円以上、自己資本金(純資産)4000万円以上ですので、資本金は2000万円以上でOKかと思われますが、創業間もない法人の場合は決算が出ていないので、資本金の額などで要件を判断するため4000万円以上となっています。)
ここがPOINT!!
過去、個人事業主の時に提出した建設業許可申請書の副本があれば、その際に経営業務の管理責任者や実務経験などの要件が一度証明されていますので、その同一人物が法人の経営業務の管理責任者になる場合などは、改めて工事注文書や確定申告書を提示して証明することを省略できる場合があります。
社会保険等の加入について
これまで5名以内の個人事業主として建設業許可を取得して営業を営んできた場合は適応除外でしたが、これから法人として改めて建設業の許可を受けようとする場合、たとえ取締役が1人の株式会社であっても社会保険及び厚生年金保険に加入しなければなりません。
また役員以外の従業員を雇う場合は、雇用保険に加入しなければなりません。
許可申請の際にこれらの加入状況を確認する書面を提示する必要がありますので、個人と法人のメリット・デメリットを十分に考慮し、設立の時より十分に準備検討しておきましょう。